啓源会計事務所(公認会計士・税理士)

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非香港企業の設立及び維持のマニュアル(2)‐現地法人と比べる非香港企業の利点

香港に新たな事業体を設立しようとする場合、既存の外国会社を本店として香港の非香港会社(「支店」とも呼ばれる)として登録できます。香港に新規の現地法人を設立するより、非香港会社を設立するのほうが有利です。非香港会社の利点は以下のように要約されます。


1. 印紙税


香港において設立された現地法人は、全ての株式譲渡に対して、香港の法律に従って印紙税(香港で「印花税」という)を支払う必要がありますが、多数のオフショア企業は、株式譲渡に対してその所在地で印紙税を支払う必要はありません。香港において設立された非香港会社は、本店の所在地の株式譲渡手続きのみに従い、香港において株式譲渡に関する書類を提出したり印紙税を支払ったりする必要がないため、作業負荷及び税金が軽減されます。


2. 管理


非香港企業に追加の報告要件がありますが、オフショア会社を本店として設立された非香港会社は、管理がオフショア会社の手続き及び要件に従うため、現地法人より簡単です。例えば、非香港会社の増資、株式譲渡、取締役の委任や辞任、定款の変更などは、本店たるオフショア会社の手続き及び要件に従います。


3. 会計


本店たる外国会社の所在地では会社の会計帳簿を掲示する必要がない場合、非香港会社は会社の会計帳簿を会社登記所に提出することが免除されます。さらに、本店たるオフショア会社の所在地では会計帳簿の監査が必要ない場合、香港内国歳入局は非香港会社が提出する未監査の会計帳簿を受け入れます。


4. 商号


オフショア会社を本店として設立される非香港会社は、香港会社登記所に規定された会社商号の制限に該当する必要がありません。例えば、香港において設立される現地法人が商号に「信託」を付ける場合、資本制限の要件を満たす必要がありますが、オフショア会社を本店として設立される非香港会社は当該要件に従う必要がありません。また、香港において設立される現地法人の商号は末尾に「Limited」が付けられる必要がありますが、多数のオフショア会社の商号には「Limited」などが付けられる必要がありません。従って、オフショア会社を本店として設立される非香港会社は、商号が本店の商号と同一でなければならないため、末尾に「Limited」が付けられる必要がありません。


5. 無記名株式


香港会社条例により、香港において設立された現地法人は無記名株式を発行できませんが、一部の海外区域では無記名株式を発行できます。無記名株式を発行できる外国会社を本店として設立された非香港会社は、無記名株式を発行できます。


6. 会社の清算


香港において設立された現地法人が香港での登録を抹消しようとする場合、清算によってのみ会社をやめることができます。それに比べて、オフショア会社を本店として設立された非香港会社は簡単な申告手続きを行うのみで香港での登録を抹消し、本店たるオフショア会社も引き続き存在します。また、オフショア会社は他の管轄区域に移転することができますが、香港において設立された現地法人はできません。


7. 貿易会社の優遇税制


香港において設立された現地法人と比べて、非香港会社にはより多い優遇税制が適用されます。2012年7月に内国歳入局が発行した税務条例解釈及び執行指導第21号(改訂版)には、香港源泉収入が定義されています。当該指導により、貿易取引において、香港で売買契約書を作成する又は契約書を購入する場合、その契約による所得に対して香港で課税される必要があります。但し、「外国会社が香港において海外購買部門として支店を設立した場合(即ち支店は商品を販売せず、購入するのみであること)、利得税の負担はない」と規定されています。従って、外国会社は香港で税金を払わずに香港で購入契約を締結することができますが、香港において設立された現地法人は当該優遇税制を享受することができません。


8. 従業員の薪俸税(給与所得税)


一般的に、現地法人に雇用されている従業員は、海外出張による累積所得に対して香港の薪俸税の免除を申請することができません。但し、非香港会社の従業員が香港以外で雇用契約を締結したことを証明できる場合、その従業員は香港以外の累積所得から、香港薪俸税の減額又は免除を申請することができます。



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