啓源会計事務所(公認会計士・税理士)

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シンガポール会社向けコンプライアンスガイド②

前の文章でシンガポール会社の会社法におけるコンプライアンス要求を紹介しました。今回は他の方面のコンプライアンスをご紹介します。


税法によるコンプライアンス要求


法人所得税  
シンガポール会社は会計年度末日から3カ月以内にIRASに対して見積課税所得(ECI)を申告しなければなりません。ただし、2017会計年度及び2017年以降は以下の要件を満たす場合、ECIの申告が免除されます。
(1) 年間売上高が500万Sドル以下
(2) 見積課税所得がゼロ


毎年5月に確定申告書(Form C)がIRASより送付されています。会社は申告書を受領してから、要求に従って記入し、電子申告又は郵送で申告書をIRASへ提出します。IRASによって申告書類が審査され、賦課決定通知書(Notice of Assessment)が送付されます。会社は賦課決定通知書の発行日より1ヶ月以内に税金を払う必要があります。さもなければ、IRASによって未納付に対する罰金は科せられます。


物品サービス税(Goods and Service Tax:GST)  
(1) GST事業者登録
物品サービス税(以下、「GST」)はシンガポール現地において物品又はサービスを提供し、またはシンガポールへ商品を輸入することで発生した税金です。シンガポールで物品又はサービスを提供し且つ年間課税売上高が100万Sドルを超える(又は100万Sドルを超えると見込まれる)事業者はGST登録をしなければなりません。GST登録を行う義務が発生した日から30日以内にIRASに通知しなければなりません。


物品又はサービスの大部分は輸出される場合、または免税取引(Zero-rated Supplies)である場合には、GST登録は不要です。


会社はGST課税業者として登録する方が有利だと判断した場合、GSTの登録義務がなくても任意に登録を申請することができます。登録申請が成功するかどうかはGST部門監査官(Comptroller of GST)の判断によります。ただし、一旦登録すると最低2年間は課税業者であり続ける必要があります。



(2) GSTの申告及び納付
一般的には、会社は四半期ごとにGSTを申告しなければなりません。GST部門監査官に毎月又は半年ごとの申告を申請することもできますが、申請が承認されるかどうかはGST部門監査官の決定によります。


GST登録をしている会社は各会計期間の翌月末までにGSTをの申告・納付しなければなりません。例えば、1月~3月の会計期間の場合、申告期限は4月31日となります。


(3) Form IR8A(年間給与明細書)
雇用主であるシンガポール会社は毎年3月1日までに、Form IR8A及びAppendix 8A、Appendix 8B又はForm IR8S(適用される場合)を作成してシンガポールにおける従業員に交付しなければなりません。従業員は前述のフォームの内容に基づいて個人所得税の申告を行います。


シンガポール会社は7人以上の従業員を雇用している場合、毎年3月1日までに税務当局(IRAS)にForm IR8Aを提出しなければなりません。7人以下の従業員を雇用している場合には、Form IR8Aを記入して各従業員に交付するだけでよく、IRASに提出する必要がありません。


年次財務諸表及び監査


財務諸表
シンガポール会社法に基づき、年次株主総会(AGM)において監査済財務諸表を全ての株主に配布しなければなりません。一般的に、一つ又は複数の子会社を持っているシンガポール会社は連結財務諸表を作成しなければなりません。ただし、シンガポール財務報告基準(SFRS)第110号「連結財務諸表」による特定基準に該当する場合には、連結財務諸表の作成義務は免除されます。


財務諸表には以下の書類が含まれています。
(1) 損益計算書
(2) 貸借対照表
(3) 株主資本等変動計算書
(4) キャッシュフロー計算書
(5) 財務諸表注記


シンガポール財務諸表基準第1号に基づき、財務諸表には取締役報告書(Director’s Report)及び会計監査人の監査報告書(Auditor’s Report)が含まれる必要があります。取締役は、財務諸表が会社の財政状態について真実かつ公正な概観を表示すること、及び会社が満期の債務を弁済する能力があると信じる合理的な理由があることを宣言しなければなりません。


監査人(Auditor)の選任
シンガポール会社法の規定に基づき、会社法第205B条(休眠会社)及び205C条(小規模非公開会社)に該当する場合に監査義務が免除となり、それ以外の場合に全てのシンガポール会社は設立日から3ヶ月以内に監査人(Auditor)を選任しなければなりません。また、毎年の財務諸表に対する監査はシンガポールの公認会計士によって行われなければなりません。


監査義務の免除
以下の要件を満たす場合に、会社は小規模会社に属し、法定の監査義務が免除されます。
(1) 当該会社が関連する会計年度を通じて非公開会社であること、及び
(2) 直前2会計年度において、以下の3項目のうち2項目以上を満たすこと。
(a) 毎会計年度の売上高が1,000万Sドルを超えない
(b) 毎会計年度の総資産価値が1,000万Sドルを超えない
(c) 毎会計年度の従業員数が50人を超えない 


小規模の会社グループの一部である会社(親会社又は子会社でも可)は以下の要件を満たせば、法定監査を免除することができます。
(1) 当該会社が小規模会社であること、及び
(2) そのグループ全体が「小規模グループ」に該当すること。


未監査財務諸表
条件に該当する小規模会社は監査人の委任及び監査人による財務諸表監査の必要がなくても、未監査の財務諸表を作成する必要があります。内国歳入庁(IRAS)の法人税申告に対する要求及び会計企業規制庁(ACRA)の年次報告書(Annual Return)提出に対する要求により、未監査財務諸表の作成が必要です。未監査財務諸表と監査済財務諸表は基本的には同じですが、両者の違いが監査意見の有無のみです。未監査の財務諸表には財務諸表に対する注記、取締役報告書及び取締役宣誓書が含まれています。前述の報告書はシンガポール財務報告基準(SFRS)に従って作成されるものであり、国際財務報告基準(IFRS)に該当します。


中央積立基金(CPF)


シンガポールの中央積立基金(Central Provident Fund: CPF)とは強制貯蓄制度であり、雇用主と被雇用者からの拠出金によってまかなわれています。シンガポール会社は従業員を雇用する前に、中央積立基金庁に積立基金を申告・納付するためにシンガポールの中央積立基金庁(CPF Board)に登録を申請し、CPF登録番号(CSN)を取得しなければなりません。雇用主は中央積立基金法(CPF Act)に基づき、定められた拠出率でCPFに積み立てるとともに、従業員の月給からその納付すべき積立基金を控除します。


雇用主は毎月末に中央積立基金を中央積立基金庁に納付しなければなりません。一般的には、雇用主は14日間の猶予が与えられます。



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