啓源会計事務所(公認会計士・税理士)

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上海におけるQFLP制度の拡大

中国の金融業界の対外開放の加速と伴い、上海はQFLPの一環として新たな組織構造及び投資対象の範囲を導入することにより、中国金融業界の先駆者であることを続けています。より幅広い中国アセットクラス(不良債権等)へ投資しようとする外資系資産運用会社にとって、それらの兆候は有利です。


新モデルを実行する前に、外資系資産運用会社は税務上の影響に注意する必要があります。QFLP等の特定の組織構造を通じて中国の資本市場に投資する者にとって、この点は特に重要です。QFLPで、関連する税法の欠缺及び各地の実践の不一致により、税の不確実性は高まっています。


最近のメディアインタビューで、上海市地方金融監督管理局の李軍副局長は、上海にQFLP制度の拡大を発表しました。外資系資産運用会社が運用する既存の米ドル建てファンドに加えて、新QFLP制度には2つの新モデルも含まれ、具体的には(1)外資系資産運用会社が管理する人民元建てファンド、及び(2)中国資産運用会社が管理する米ドル建てファンドです。


新QFLP制度はまた、持分投資パートナーシップ企業(以下「QFLPファンド」という)の投資対象の範囲を、株式から優先株式、私募債、転換社債、メザニン債、不良債権に拡大します。それにより、特に不良債権市場において、外資系資産運用会社がQFLPを通じて参入できるアセットクラスの範囲は広がりました。QFLPファンドは、法律上やビジネス上の弾力性及び優遇税制を提供する有限責任パートナーシップファンドであるため、不良債権へ投資する外国投資者が最も優先される組織構造になりました。


税務上の観点から、以前のモデルでは、外国人投資家が独資企業(WFOE)を通じて中国の不良債権市場に投資することができます。その独資企業は課税所得に対して25%の中国の企業所得税を納付し、外国人投資家への上流配当(upstream dividend)に対して10%の中国の源泉所得税を納付します。即ち、その独資企業の所得税負担は32.5%となります。一方、有限責任パートナーシップとして存在するQFLPファンドは、ファンドからの利益がパートナーシップの1段階の税率で企業所得税が課されるため、外国人投資家にとってより税負担の少ない構造であると思われます。理論上は上記の通りですが、実務上はQFLPファンドの外国組合員に対する既存の中国の税法及び規制が不明確です。従って、QFLPファンドの外国有限責任組合員が実際に適用する税率は現地の慣行によって異なる可能性があります。


QFLPを利用して中国で不良債権投資を行おうとする外資系資産運用会社は、以下の各税目の不確実性に直面します。(1)QFLPファンドの外国有限責任組合員が中国で設立された恒久的施設(PE)はファンドからの利益に対して25%の企業所得税を納付するか否かこと。(2)QFLPファンドからの配当金は、外国組合員の受動的所得として10%の源泉所得税が課されるか否かこと。(3)外国組合員はQFLP基金からの配分金に対する所得税を削減するために租税条約を利用できますか否かこと。


(4)QFLPファンドにおいて、中国の税務機関は国税発(2003)32号税務通知に従って外国組合員の課税所得を計算するか否かこと。(5)QFLPファンドの資産処分益は増値税の対象になるか否かこと。(6)大体の場合、QFLPファンドは小規模増値税納税者として経営されているため、資産処分益を集める際に、発票が問題になるか否かこと。上記のように、税金が全体的な投資収益に大きな影響を及ぼすため、外資系資産運用会社はQFLPの下で投資計画を作成する際に、上記の点を慎重に検討・解決する必要があります。


上海の新QFLP制度及び最近の改革は、上海を一流の金融センターにする決意を表明します。外資系資産運用会社はQFLPを通じて新しい投資方法を探求するにつれて、新たな不確実な税務の課題に直面するでしょう。外資系資産運用会社は、不確実性を減らすために、QFLPに関する税務の動向を注意し、上海の税務機関まで問い合わせ、最新の制度・慣行を理解する必要があります。



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