啓源会計事務所(公認会計士・税理士)

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香港保証有限責任会社向けコンプライアンス(会社条例)

特に明記しない限り、本見積書で紹介される香港保証有限責任会社とは、香港会社条例第622章に基づき設立された非営利の保証有限責任会社(Company Limited by Guarantee)を指します。


1.会社条例によるコンプライアンス要求


1.1 会社秘書役


その他の事業形態と同じ、全ての香港保証による有限責任会社は1人の秘書役を持つ必要があります。秘書役は、会社の各法定記録帳やメンバー・取締役の議事録又は書面決議書の作成・保管、法的申告書や年次申告書の提出などを担当しています。会社の秘書役又はその登記情報が変更された場合、会社はその変更日から14日以内に指定のフォームで会社登記所に通知しなければなりません。


1.2 登録住所


香港「会社条例」の要求により、全ての香港会社は香港における登録住所を有しなければなりません。登録住所は法的書類の受取に使用されます。メールアドレスは登録住所とすることができません。会社の登録住所が変更された場合、会社はその変更日から14日以内に指定のフォームで会社登記所に通知しなければなりません。


1.3 指定代表者


全ての香港会社は香港居住者(会社のメンバー、取締役又は従業員)又は資格を持っている信託、企業向けサービス業者、香港会計専門家、法律専門家を指定代表者として選任しなければなりません。指定代表者は、実質的支配者名簿(Significant Controller Register)を更新・維持し、且つ法執行官の実質的支配者名簿に対する調査に協力します。


1.4 年次申告書


香港において設立される保証による有限責任会社は毎年の申告日後42日以内に会社登記所に年次申告書を提出しなければなりません。保証による有限責任会社の申告日は会社の会計年度末後9ヶ月以内です。年次申告書の目的は、過去1年間の会社の登録情報の各変更を会社登記所に申告することです。それにより、社会は会社の最新登録情報を調査できることになります。


年次申告書を提出する際に、会社は会社登記所に14米ドル(105香港ドル)の登記料を支払う必要があります。


同時に、保証による有限責任会社は監査済み財務諸表を会社登記所に提出する必要があります。監査済み財務諸表には、取締役報告書(directors report)、監査報告書(auditor's report)、貸借対照表及び損益計算書などが含まれます。


会社は期限内に年次申告書を提出しなかった場合、追加の登記料を別途納付する必要があります。具体的には以下の通りです。


表1:香港保証による有限責任会社の提出遅延の登記料


上記の最大限の登記料に加えて、年次申告書の提出が遅れた場合に会社は起訴される可能性があります。有罪判決を受けたら、裁判所が設定した追加の罰金を支払う必要があります。年次申告の提出遅延の罰金の最大限は、6,410米ドル(50,000香港ドル)の定額及び延滞日数に90米ドル(700香港ドル)をかける金額です。


1.5 会計記録


会社の会計帳簿は会社の登録住所又はその他の取締役が承認した場所に保存される必要があります。会計帳簿を海外に保存している場合、その会計帳簿を最低6ヶ月ごとにまとめ、香港へ返送して照合される必要があります。毎年度の会計記録及び関連ファイルは、7年以上保管する必要があります(電子化して保存することもできる)。


1.6 財務諸表の法定監査


香港保証による有限責任会社は香港公認会計士協会が発行した「香港財務報告基準(HKFRS)」又は「香港中小企業財務報告基準(SME-FRF&FRS)」に従って年次財務報告書を作成し、株主総会に提出する必要があります。上記の年次財務報告書には、取締役報告書、監査報告書、財政状態計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書及び注記などが含まれます。会社は最終的な持ち株会社である場合、連結財務諸表も作成する必要があります。


香港「会社条例」により、保証による有限責任会社は香港で業務を行う独立監査人を雇用しなければなりません。独立監査人は、その任期内に会社の株主総会に提出された会計帳簿に対し、その会社が公平かつ真実な貸借対照表及び損益計算書を提出したか否かについて報告します。また、独立監査人は、財務諸表が「会社条例」及び「香港財務報告基準」に該当するか否かについて監査人の意見を発表します。


「会社条例」により、会社は業務を行うか否かを問わず、財務報告書の作成、監査人の委任及びその財務報告書の監査を行う必要があります。


毎年、保証による有限責任会社は監査済み財務報告書を会社登記所に保存し、社会に開示する必要があります。


1.7 年次株主総会


全ての香港保証による有限責任会社は毎年、年次株主総会を開催する必要があります。年次株主総会は会社の会計基準期間末から9ヶ月以内に開催する必要があり、次の年次株主総会の開催時間との間隔は15ヶ月を超えてはなりません。初会計年度が12ヶ月を超える場合、最初の年次株主総会は設立記念日後9ヶ月以内、又は会計基準期間末から3ヶ月以内(いずれかの遅い時間)に開催しなければなりません。


会社は以下の各項のいずれかに該当する場合、年次株主総会を開催する必要がありません。
(1) 年次株主総会で処理すべき事項は書面決議書によって処理され、且つ年次株主総会に提出すべき全ての書類(帳簿又は記録などを含む)は年次株主総会に出席する資格のある株主に提出されたこと。
(2) 会社の株主は1人しかいないこと。
(3) 会社は書面決議書を通じて年次株主総会を開催しないことを決定したこと。
(4) 会社は休眠会社であること。


年次株主総会の通知は株主総会の日の21日前に通知しなければなりませんが、議決権を有する株主全員の同意を取得している場合に21日以内に通知することができます。


1.8 実質的支配者名簿


2018年3月1日以降、香港で設立された会社はその実質的支配者について名簿を作成・保管し、法執行官の要求に応じて提出する必要があります。同時に、全ての会社は1人の指定代表者(1.3を参照)を委任し、法執行官の実質的支配者名簿に対する調査に協力する必要があります。


会社は当該責任を果たさない場合に刑事犯罪に該当し、会社及び全ての責任者に3,205米ドル(25,000香港ドル)の罰金が処します。適用される場合、1日増ごとに90米ドル(700香港ドル)の追加罰金が発生します。


1.9 その他のコンプライアンス


(1) 指定された期限内に会社の増資又は減資について会社登記所に申告する。
(2) 期限内に株主名簿、取締役名簿、秘書役名簿及び株式引受人名簿を更新する。
(3) 期限内に実質的支配者名簿を更新・保管する。
(4) 会計記録及び財務記録を保管する。


1.10 「有限会社」の削除


香港保証による有限責任会社は会社名(商号)の「有限会社」という用語を削除することを申請できますが、会社は趣旨がギルト、協会、宗教団体、継続教育、援助基金、公的信託、社会福祉のためなどであり、且つ認可慈善団体(ACI)として承認されなければなりません。


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