啓源会計事務所(公認会計士・税理士)

海外投資者が海外でビジネスを展開しやすいために、香港、北京、上海、深セン、シンガポール、台湾、米国における会社設立手続き、税制等の方面に関する情報は、Kaizenは皆様とシェアしましょう。

英国会社向けコンプライアンスガイド(下篇)


英国会社向けのコンプライアンスガイドの説明を続けましょう!


年次財務諸表及び監査
1 財務諸表


英国の会社法に基づき、全ての英国会社は毎年年次財務諸表を作成・提出しなければなりません。当該財務諸表は法定財務諸表と言われます。


法定財務諸表には以下の書類が含まれています。
(1) 貸借対照表(会社の財務状態を表す報告書)
(2) 損益計算書(会社の会計年度における収益と費用を表すもの)  
(3) 財務諸表の注記
(4) 取締役報告書(微型企業の場合が不要)


英国会社の取締役は、以下の方に対して法定財務諸表を開示する義務があります。
(1) 会社の全ての株主
(2) 会社の年次株主総会に出席する権利がある者
(3) 英国の会社登記所
(4) HMRC(会社の税務申告の1つです)


会社登記所とHMRCへの財務諸表の提出期限が違いますが、財務諸表をこれら二つの政府部門に同時に提出することはできます。


英国会社は小型、微型または休眠会社(事業を行っていない会社)に属する場合、簡単な財務諸表を提出することができます。


2 会計監査人の選任


英国会社法の規定に基づき、全ての会社は会計年度ごとに会計監査人(Auditor)を選任しなければなりません。取締役会が会社法の規定により、その年次財務諸表を監査する会計監査人を選任する必要がないという理由で、監査人を選任しないことにした場合は別です。


初代監査人が取締役会によって選任されるのは一般的です。取締役により選任された監査人の任期は、第一回株主総会の終結時までです。会社は株主総会で当該監査人を再度選任し、または他の監査人を選任します。新任監査人の任期は、選任日から財務諸表を提出する次回の株主総会の終結時までです。


ただし、英国会社は決議書を通じて、株主総会で財務諸表を提出しないことを説明することができます。もし当該決議が可決されると、会社は財務諸表を株主に提出した日から28日以内に株主総会を開催し、且つ会議で監査人を再度選任し、または他の監査人を選任する必要があります。


監査人の役割は、会社の全ての財務諸表を監査し、監査報告書を作成して株主に提出することです。監査人の主たる業務内容は、会社法に従い、株主に関係状況を報告することです。監査人は、その会計年度の賃借対照表、損益計算書を含んでいる財務諸表に対する真実かつ公正な意見を表明するとともに、関連会計帳簿が財務諸表の枠組みに沿って作成され、且つ国際会計基準及び法規の要求に該当することを確保します。


3 会計監査の免除


英国の2006年会社法に基づき、いずれの企業グループにも属しない独立な会社(stand-alone company)は、会計監査義務が免除されます。


英国会社は、本年度と前年度にも要件を満たさないとともに、以下の3つの条件から2つ以上を満たす場合に、小規模会社に属し、法定の監査義務が免除されます。


アイテム                                 閾値
売上高                                    ≤ 1,020万ポンド
賃借対照表の総額(資産総額)      ≤ 510万ポンド
従業員数                                 ≤ 50名


上記は会社の最初の会計年度、または連続する2つの会計年度を要して性質を変える会社に適要されます(即ち、その後の会計年度の賃借対照表日に、会社が小規模会社の資格要件に満たし、または満たさないことを確認する)。上述のことは、連続する2つの会計年度に発生する場合だけが、小規模会社の資格が変わります。


英国会社は企業グループの一員でありかつ小規模会社である場合には、監査義務が免除されます(上述の小規模会社の資格要件が適用されます)。小規模グループとみなされたければ、以下の3つの条件から2つ以上(純閾値または総閾値)を満たさなければなりません。


アイテム                                      純閾値                     総閾値
売上高                                        ≤ 1,020万ポンド       ≤ 1,220万ポンド
賃借対照表の総額(資産総額)         ≤ 510万ポンド          ≤ 610万ポンド
従業員数                                     ≤ 50名                      ≤ 50名


純:連結勘定科目に基づく
総:グループ内の取引または残高を控除する前に、各口座を合算する。
注意:上記閾値はグループに属する世界中の会社に対するものです。


上記は会社の最初の会計年度、または連続する2つの会計年度を要して性質を変える会社に適要されます(即ち、親会社のその後の会計年度による賃借対照表日に、グループが小規模グループの資格要件に満たし、または満たさないことを確認する)。上述のことは、連続する2つの会計年度に発生する場合だけが、小規模グループの資格が変わります。


4 年次財務諸表の申告要求
   
英国会社の年次財務諸表は通常、会社の会計年度終了後9ヶ月以内に会社登記所に提出しなければなりません。期限内に申告できなかった場合は、以下の罰金が発生します。


申告日                           罰金
期限後1ヶ月                 150ポンド
期限後1~3ヶ月            375ポンド
期限後3~6ヶ月            750ポンド
期限後6ヶ月を超える   1,500ポンド


会社は翌年にも期限後申告をした場合、罰金が倍に増えます。会社は年次財務諸表を継続的に申告しない場合、会社の取締役が起訴され、会社の法人登記が抹消され且つ会社の資産が没収される可能性があります。


企業年金制度


2008年年金法(The Pensions Act 2008)に基づき、英国の全ての雇用主は従業員を企業年金に加入させ、且つ拠出金を支払うことが義務付けられます。これは「自動加入制度」と言われます。1名以上の従業員を雇用した者は雇用主とみなされ、特定の法律責任を持っています。


英国会社は現在または将来に最低1名の従業員を雇用する場合に、22歳以上定年年齢未満であり、週収192ポンド(月収833ポンド又は年収10,000ポンド)の従業員を企業年金に加入させなければなりません。企業年金への自動加入義務は一人目の従業員を雇用する日から発生します(義務発生日)。


ビジネスライセンス


設立された英国会社は、いかなる業務を経営してもいいというわけではありません。業務内容によって、政府に特定の免許または許可を申請する必要があるかもしれません。ビジネスライセンスは、政府機関または専門機構によって発行された許可証であり、企業が指示に従って特定の事業活動をどのように行うことを指導するものです。


英国会社が経営する業務の性質、産業及び営業所の住所によって、必要な免許又は許可が異なります。ビジネスライセンスを要する最も一般的な事業活動は、酒類・たばこの販売及びギャンブルに関連する事業です(例えば、アルコール飲料を販売するバー・クラブ、またはカジノ)。


また、経営する事業は肉類、乳製品などの動物由来食品の処理・準備に関わる場合、現地政府に食品経営許可証(Food Business Approval)を申請する必要があるかもしれません。許可申請が承認されたら、現地政府に登録を再度申請する必要がありません。


飲食店、仕出し屋またはバーなどでアルコールを販売・提供する場合には、関連ライセンスの取得が必要です。ライセンスには、施設ライセンスと個人ライセンスの2種類があります。一般的には、施設ライセンスの取得に加えて、個人ライセンスを有する者を施設管理者とする必要があります。



コンプライアンス


上述の通り、英国会社は会社登記所で設立されると、英国の会社法及び税法の各規定(例えば会計年度の決定及び会計監査人の選任等)に従わなければなりません。また、会社は規制される業務を行う場合には、関係監督部門に免許又は許可を申請する必要があります。



もっと詳細な情報や支援をご希望の場合は、下記のお問い合わせをご利用になってください。
メール:info@kaizencpa.com
固定電話: +852 2341 1444  
携帯電話: +852 5616 4140、+86 152 1943 4614
ライン・WhatsApp・Wechat: +852 5616 4140
公式ウェブサイト:https://www.kaizencpa.com/jp/
Skype: kaizencpa