啓源会計事務所(公認会計士・税理士)

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シンガポール旅行代理店ライセンス申請ガイド

シンガポール旅行会社・旅行代理店とは、シンガポール国内または国外における旅行、または航空、海上又は陸上の旅行パッケージを提供する会社または個人のことです。運送サービスのみを提供する会社(例えばタクシー会社またはトラックで品物を運送する会社)は、当該定義には含まれていません。


シンガポールにおいて旅行代理店を開業する前に、会計企業規制庁(ACRA)に会社登記申請を行わなければなりません。設立された会社は旅行代理店を経営するためには、旅行代理店の免許を取得する必要があります。旅行代理店ライセンスがシンガポール政府観光局(STB)により発行されます。STBに対してライセンスを申請する前に、会社は特定の義務と要求を満たさなければなりません。


旅行代理店ライセンス


シンガポール政府観光局(STB)とは、旅行代理店のライセンスを発行する政府機関です。旅行代理店を開業するには、STBによる旅行代理店ライセンスを取得しなければなりません。旅行業法(Cap.334)に基づき、旅行代理店の定義は以下のサービスを提供する会社または個人です。


(1) 任意の人に対して任意の交通手段を利用する権利を提供する
(2) 任意の人に対してシンガポール国内または海外に出向く任意の交通手段、及び一つまたは複数の宿泊施設(例えばホテル)を利用する権利を提供する
(3) 再販売するために、任意の交通手段を利用する権利を購入・予約する
(4) 任意の人に任意の観光ツアー(旅行代理店による手配であるかどうかにかかわらず)を提供する
(5) その他規定される類似活動


上述「提供」の定義は、旅行商品の手配・販売活動を含みます。


本条例はシンガポール国内で行われる上記第1~5項の任意のサービスのみに適用されます。例えば、シンガポール国外においてパッケージツアーを手配・販売する旅行代理店は、そのパッケージツアーがシンガポール往復のツアーを含んでいたとしても、旅行代理店ライセンスが不要です。


旅行代理店ライセンスの種類


現在、STBは以下2種類の旅行代理店ライセンスを提供しています。


(1) 特定ライセンス
シンガポール国内で観光ツアーを販売・手配・宣伝する旅行代理店は、参加者に対して交通手段を提供しますが、宿泊の権利を提供しない場合(例えば団体旅行)、特定ライセンスを申請できます。特定ライセンスを申請するには、最低50,000シンガポール・ドルの資本金が必要です。


(2) 一般ライセンス
特定ライセンスの経営範囲以外の業務を行う旅行代理店は、一般ライセンスを申請する必要があります。一般ライセンスを申請する場合、最低100,000シンガポール・ドルの資本金が必要です。


旅行代理店ライセンスの申請条件


STBにシンガポール旅行代理店のライセンスを申請する前に、以下の要件を満たさなければなりません。


(1) 会社設立 
まずACRAにシンガポール会社を登記します。法人登記時にシンガポール標準産業分類(SSIC)コードの79101(旅行代理店とツアーオペレーター(国内メイン))、または79102(旅行代理店とツアーオペレーター(国外メイン))、または79103(航空会社、観光バス及びクルーズ客船を含むチケットエージェント)を選択しなければなりません。


(2) 払込資本金
会社は50,000Sドル(特定ライセンス)以上又は100,000Sドル(一般ライセンス)以上の払込資本金及び相当額の純資産を有しなければなりません。


(3) 主要エグゼクティブ(Key Executive)
会社は、旅行代理店の日常管理及び運営を担当する適切な者を主要エグゼクティブとして選任しなければなりません。当該エグゼクティブがACRAで登記された会社の取締役によって担任され、且つ旅行業務の管理経験を持つことをお勧めします。主要エグゼクティブはシンガポールの国民、永住者、EP保持者又はアントレパス保持者でなければなりません。


(4) メールアドレス
会社は旅行代理店のビジネス用のメールアドレスを一つ設定しなければなりません。


(5) 管理職
会社の取締役、エグゼクティブや管理職は良い人徳及び名声を持つことが必要です。当該要求を満たす証拠の提供は要求されるかもしれません。


(6) オフィスと看板
会社は旅行代理店のオフィス(ホームオフィスまたは商業オフィス)を設置しなければなりません。オフィスを持っていない場合は、まずライセンスを申請し、それからSTBの事前審査を受けることができます。但し、事前審査に通ってから3ヶ月以内にオフィスの情報及び書類を提出しなければなりません。


個人事業主(フリーランサー)のトラベルエージェントの場合、その営業所が公団住宅(HDB)だとしても、あるいは個人住宅だとしても、先にシンガポール住宅開発局(HDB)または都市再開発庁(URA)の批准を受けてこそ、STBによるライセンスが付与されます。また、会社は見かけやすい看板を掲げる必要があります。看板には、その業務の性質、及び登録された会社名や商標またはロゴが明記されなければなりません。


旅行代理店ライセンス申請の必要書類
(1) ACRAから購入した最新のBizfile
(2) 商業活動と市場専門化フォーム
(3) 事業計画書又はビジネスモデル(全面的に旅行代理店の経営業務を紹介するもの)
(4) 主要エグゼクティブの履歴書(過去の仕事、経験及び資格を含む)
(5) 主要エグゼクティブのシンガポールのIDカード(NRIC)、EP又はアントレパスの表面、裏面のコピー
(6) 主要エグゼクティブの選任に関する取締役会決議書(会社のレターヘッド紙に印刷され、且つ全取締役によってサインされる)
(7) 主要エグゼクティブの委任状及び企業実体組織図(ACRAに未登録の取締役のみに適用)
(8) オフィスの賃貸借契約書及び印紙税納税証明書(契約書に記載される住所をオフィスとして使用することは批准される必要があり)
(9) HDB・URAホームオフィス計画(Home Office Scheme)による許可(ホームオフィスのみに適用)
(10)シンガポール信用情報機関(Credit Bureau Singapore)の報告書(独資企業またはパートナーのみに適用)
(11)資本金の入金を反映した最新の銀行取引明細書(会社名及び金額を明記する)
(12)設立後18ヶ月以上経過した企業(休眠企業を含む)に対しては、最新の計算書類(賃借対照表及び損益計算書を含む)が必要


旅行代理店ライセンスの申請手続き


すべての旅行代理店ライセンスはオンライン申請をする必要があります。


(1) 全ての書類は審査・批准を受けるためにSTBに提出される必要があります。審査・批准の所要時間は約1~2週間です。
(2) STBが電子メールを通じてIPA(In-Principle Approval) Letterと呼ばれる仮の承諾書を発行します。
(3) IPAレターにはシンガポールの旅行代理店ライセンスの取得に必要なその他の要件が記載されます。通常、経営する旅行代理店の賃貸借契約書及び印紙税納税証明書を提出することが要件とされます。オフィスの賃貸借契約期間は最低1年間です。当該オフィスを所有する場合、建物の所有権を証明する書類の提示が必要です。
(4) ライセンス申請が承認されると、STBがライセンス料の支払い及びライセンス取得に関する詳細を電子メールにて送ります。


STBがライセンス申請を承認する前に、旅行代理店の業務を初めてはいけませんのでご注意ください。


旅行代理店ライセンスの更新


シンガポールの旅行代理店ライセンスの有効期限は2年間です。どの月にライセンスの新規申請をするにかかわらず、ライセンスの有効期限は翌年12月31日までです。ライセンスの有効期限が切れる1ヶ月前にライセンス更新を申請する必要があります。


そのうえ、旅行代理店のライセンス保有者は毎年STBに対して以下の書類を提出しなければなりません。


(1) 事業年度終了後6ヶ月以内に、STBの要求に沿って年次報告書(Annual Business Profile Returns)を提出する。
(2) 事業年度終了後6ヶ月以内に、監査済財務諸表の副本を提出する
(3) STBの要求に沿って、指定期限までに旅行代理店に関するその他の資料を提供する



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