啓源会計事務所(公認会計士・税理士)

海外投資者が海外でビジネスを展開しやすいために、香港、北京、上海、深セン、シンガポール、台湾、米国における会社設立手続き、税制等の方面に関する情報は、Kaizenは皆様とシェアしましょう。

米国企業透明性法の概要について(一)

米国財務省金融犯罪捜査網(FinCEN)は、2022年9月29日に実質的所有者に関する情報(BOI)報告規則を規定した超党派の「企業透明化法(CTA)」を発表しました。そして、当該法案は2024年1月1日から有効になります。


ほとんどの株式会社、有限責任会社、および米国で事業を行うその他のエンティティに対し、実質的所有者(会社を最終的に所有または支配する者)に関する情報をFinCENに報告するようと最終規則より規定されました。「企業透明化法」の委任よりFinCENは上記言及の情報を収集して、麻薬密売人、詐欺犯罪者、寡頭政治や拡散者などの腐敗者が米国でマネーロンダリングしたり資金やその他の資産を隠蔽したりするのを防ぐ為です。最終規則は、実質的所有者に関する情報報告に対して、報告提出者、開示すべき情報、提出期限等の内容を規定しています。詳しく説明すると、最終規則が報告会社にFinCENに報告書を提出させることによって、(1)エンティティの実質的所有者及び(2)エンティティの申請者という2種類の者を確定しました。


1. BOIとは?


BOI (Beneficial Ownership Information) とは、直接的若しくは間接的に会社を所有又は支配している実質的所有者に関する情報です。


一般的に、実質的所有者とは直接または間接的に報告会社に対して実質的な支配力を行使する個人、又は報告会社に対し、25%以上の所有権を所有または支配する個人のことを言います。


1.1 実質的支配


個人が報告会社に対して「実質的支配」を有するかどうかは、その個人が報告会社に対して行使できる権限によります。たとえば、個人が報告会社の重要事項に指揮、決定、または極大な影響力を行使できる場合、それが報告会社を実質的に支配することになります。さらに、上級役員は報告会社に対して実質的な支配権を持っているとみなされます。


1.2 所有者権益


「所有者権益」とは通常、株式から複雑な決定等報告会社の所有権を確保する取り決めを指します。


実質的所有者を特定する方法を下記のように説明します。


(1) 報告会社は有限責任会社(LLC)の場合:個人 A は会社の唯一の所有者および社長であり、会社を代表して重要な意思決定を行います。

①個人A は会社の上級役員(社長)で、且つ会社を代表して重要な意思決定を行うことができること、②個人 A は報告会社の 25%以上の所有者権益を所有していることを理由で個人Aは会社に対して実質的な支配を行使できます。


したがって、個人 A が実質的所有者であるため、実質的所有者に関する情報を FinCEN に報告しなければなりません。


(2) 報告会社は株式会社の場合:当該株式会社の発行済所有者権益の合計は株式の数です。 3 人 (個人 A、B、C) がそれぞれ株式の 50%、40%、10%を所有して、他の1 人 (個人 D) は会社の社長を務めていますが、株式を所有していません。


個人 A は会社の株式の 50% (会社の25%の所有権を超えている) を所有しているため、実質的所有者となります。


個人 B は会社の株式の 40%(会社の25%の所有権を超えている)を所有しているため、実質的所有者となります。


個人 C は会社役員ではなく、直接的または間接的に会社に対して実質的な支配を行使できず且つ会社の株式の 10% (会社の25%の所有権以下)をしか所有していないため、会社の実質的所有者になれません。


個人 D は会社の社長であるため、実質的所有者となります。会社の役員である以上、会社の25%以上の所有権を所有しているかどうかに関係なく、実質的支配を行使できます。


したがって、その他の事情がない限り、個人 A、B、D は実質的所有者であり、実質的所有者に関する情報を FinCEN に報告しなければなりません。


2. BOI報告内容


実質的所有者に関する情報報告を提出する際に開示すべき情報は下記の通りです。


(1) 氏名
(2) 生年月日
(3) 身分証明書を発行した州または管轄区域の名称
(4) 本人確認書類の写真
(5) 身分証明書の識別番号。認められている身分証明書類は下記のようになります。
(a) 米国各州が発行した有効期限内の運転免許証
(b) 米国の州政府、地方政府、又はインディアン部族が本人確認の目的で発行した有効期限内の身分証明書
(c) 米国政府発行した有効期限内の旅券
(6) 住所
(a) 実質的所有者の場合、報告会社は個人の詳細住所を報告しなければなりません。
(b) 会社申請者の場合、報告会社は個人の詳細住所を報告する必要があります。ただし個人が会社設立の業務に従事し(弁護士または会社設立代理人など)、且つ設立または登記書類を提出する場合、報告会社は個人の営業詳細住所を報告しなければなりません。たとえば、会社申請者が法律事務所に勤務中に書類を提出したパラリーガルである場合、報告企業は書類を提出時にその個人が勤務していた法律事務所の事業所住所を報告しなければなりません


3. BOI 以外の情報を報告必要


実質的所有者に関する情報以外に報告する必要な情報があります。また、その報告すべき情報の内容は会社の設立または登記の期日によって異なります。


(1) 2024年1月1日以降に設立または登録された報告会社は報告会社自身、実質的所有者、報告会社の申請者に関する情報を報告しなければなりません。
(2) 2024年1月1日より前に設立または登録された報告会社は、報告会社自身、実質的所有者に関する情報を報告すれば良いです。報告会社に関する情報がいりません。



免責声明
本文の内容と意見は一般的な情報共有のみであり、専門的なアドバイスではありません。本文の内容への信頼によって生じた全ての損失に対しては、啓源が一切責任を負いません。専門的なサービスがご必要な場合は、お気軽にご連絡ください。


もっと詳細な情報や支援をご希望の場合は、下記のお問い合わせをご利用になってください。
メール:info@kaizencpa.com
固定電話: +852 2341 1444  
携帯電話: +852 5616 4140、+86 152 1943 4614
ライン・WhatsApp・Wechat: +852 5616 4140
公式ウェブサイト:https://www.kaizencpa.com/jp/
Skype: kaizencpa