啓源会計事務所(公認会計士・税理士)

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英国会社の法定監査(一)

英国会社の監査要件は、「2006年会社法(the Companies Act 2006)」及び「2004年会社(監査・調査・コミュニティ企業)法(the Companies (Audit, Investigations and Community Enterprise) Act 2004)」によって制限されています。上述の法律は、会社が監査を実施する際に遵守しなければならない基本原則、基準及び義務を確立しました。


法定監査(Statutory audit)は、強制監査(mandatory audit)とも呼ばれ、会社の財務諸表全体に虚偽内容や重大な誤りがないか否かに対し、独立監査人が監査基準の規定に従い、監査結果に基づいて財務諸表の真実性及び公正性について監査意見を発表することです。


全ての会社は法定監査をする必要があるわけではありません。通常、特定の要件に該当する小規模会社は、監査免除を適用しますが、監査が義務付けられている状況がいくつかあります。例えば、会社は1年間中の任意時点で上場会社になるか、又は子会社でありかつグループが監査基準を満たしているか、又は規制対象の保険会社であることです。


会社は監査免除の対象となっても、株式の10%以上を保有する株主が要請を提出した場合、会計監査をする必要があります。また、会社は大きな変更が発生した場合、又は売却が提案された場合等、任意監査をすることもできます。


監査は会社の業績や状態を真実かつ公正に評価することです。法的要件に該当することに加えて、会社は監査を通じて、信頼性の向上、社内体制の改善、利害関係者の自信の向上などのメリットを得るかもしれません。


監査義務を遵守しなかった場合、会社は違反の程度などに応じて、会社に影響を与える可能性のある罰則に処します。


1. 監査免除


2006年会社法は、規模を問わず全ての英国会社は財務諸表を毎年作成しなければならないと定めています。ただし、監査の要件は会社の規模及び性質によって異なります。要件に該当する一部の会社は監査免除を適用できます。


1.1 小規模会社(Individual Company)


次の基準の2つ以上を満たす小規模会社は、監査免除を適用できます。


(1) 年間売上高が1,020万ポンドを超えないこと。
(2) 貸借対照表の合計が510万ポンドを超えないこと。
(3) 平均従業員数が50人を超えないこと。


1.2 休眠会社


会社は設立以来又は1会計年度を通して休眠会社になり、小規模会社制度に従って帳簿を作成してきた会社は、監査免除を適用できます。


1.3 子会社とグループ


グループ内の子会社は以下の要件を満たしている場合、監査が免除されます。


(1) 子会社は設立以来又は1会計年度を通して休眠会社になり、小規模会社制度に従って帳簿を作成してきた会社は、監査免除を適用できます。


(2) 英国子会社及びそのグループは同時に小規模会社の基準を満たしている場合


(i) 子会社自体は小規模会社の基準を満たしていること。
(ii) グループの業務は次の基準の2つ以上を満たしていること。


ア) 年間売上高の正味金額は1,020万ポンド、総額は1,220万ポンドを超えないこと。
イ) 貸借対照表の正味総額は510万ポンド、総額は610万ポンドを超えないこと。
ウ) 平均従業員数が50人を超えないこと。


上述の正味金額とは、連結財務諸表に基づきグループ内取引を調整した後の金額となります。総額とは、グループ内取引を連結する前に各グループのメンバー会社の勘定に合計された金額となります。


グループは連続2会計年度に親会社の貸借対照表が小規模会社の基準を満たさない場合、小規模会社の身分を取り消されます。逆に連続2会計年度に満たした場合、小規模会社の身分を取得します。
(3) グループ全体が英国に登録されている場合


(i) 親会社は子会社の債務を全て負担すること。
(ii) 子会社の全ての株主は監査免除を同意すること。
(iii) 子会社は親会社と連続財務諸表を作成し、当該連続財務諸表が監査済で英語表記であり、且つ英国に提出されたこと。


英国が正式にEUを離脱する前に、親会社がEU加盟国に設立されており、その英国子会社の年次会計の開始日が2020年12月31日以前に開始された場合、親会社は条件(i)から(iii)に基づいて子会社の監査免除を申請することができます。さもなければ英国の子会社は監査免除の対象となりません。


英国の子会社とそのグループ会社の状況は非常に複雑になる可能性があるため、不明な場合は常に専門家のアドバイスを受けてください。


2. 強制監査


次の会社は監査をしなければなりません。


(1) 監査免除の対象とならない独立した会社
(2) 監査免除の対象とならない子会社
(3) 上場会社
(4) Financial Services and Markets Act 2000によって認定された保険会社
(5) 保健市場活動の実施する会社
(6) 銀行業務に携わる会社
(7) 電子マネーの発行業者
(8) 金融商品市場指令(MiFID)投資会社
(9) 譲渡可能証券への集団投資事業(UCITS)管理会社
(10) 株式が規制された市場で取引されている事業体
(11) マスタートラスト年金制度の出資者
(12) 特別登録機関
(13) 年金又は労使関係機関




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